KDA2023

KD最優秀賞 猿山 綾花 地を仰ぐ-都市部に潜む地と人を結ぶ媒介空間- KD優秀賞 カーン リファ 宗教をほどき、かさねる-混在する信仰の中で生きる人々の新たな場- KD奨励賞 小野 櫻朱 まちの「素」を因む-小さなズレの集積による偶発的な空間群- KD特別賞 伊藤絢香 下書きのままつくる-個によって認識が揺らぐ小学校- 司会進行 鹿田 健一朗 鹿田建築設計事務所主宰 1991 東海大学工学部建築学科卒業1991 菊竹清訓建築設計事務所入社2000 鹿田建築設計事務所設立 2020年、2月にクルーズ船での大規模な感染が確認され4月に緊急事態宣言が発出された。我々世代が経験したことのない命の危険すら感じる不安の中で入学した当時の1年生が今回の作者である。初めて建築を学ぶ時からリモート授業が続き大変な苦労をしてきたと聞いた。そして熱量のある作品を見ていくにつれ人間同士の距離感や空間、時間に対して固有のスケールと価値観を持った世代なのかもしれないと思い始めていた。傾向として建築や空間の力を誇示するものではなく分節された小さな空間を再構成しながら人と人、人と建築、人と環境を緩やかに優しく何かで繋ごうとしている作品が多い気がしたからだ。形式や概念や祈りなどで。遠い未来も当然だが今を丁寧に変えていきたいという想いを感じた。「建築は生きることに直結している」という香山壽夫さんの言葉を思い出した。 審査員は偶然にもそれぞれ約4年間隔で卒業された方々であった。年代で変化していく社会的視点や建築感がわかりやすく、経験も分野も様々でそれぞれの評価軸で視野の広い議論が展開された。「これからの可能性」「使われ方や将来のイメージ」「建築の新しい形式」「独創性」「空間を作る力」「都市との関わり方や場所性」「思考の飛躍」などの多くのキーワードを挙げて頂いたがあえてその場では評価軸を絞ることなくできるだけ多くの作品に触れながら議論を尽くして評価して行くことを試みた。投票で順位を決めることは容易だが作者が想いや理想を作品の完成度に捉われず受け止めて俎上に載せるのが特に今年の作品群の特徴に合っていたと思う。議論の時間が長くなったが納得の上の結果が出たのではないか。作品個別の評価については審査員の皆さんの講評文にお任せしたいと思う。 一方で大切なのは卒業してからのこれからだ。特に上手く出来なかったと思って … 続きを読む KDA2023